約2年ぶりの記事投稿である。
2024年も3月に入り、各高校で今春の大学合格者数が発表されている。
そんな中で今回は大阪の高校について書きたい。
「大阪でNo.1の進学実績を持つ学校はどこ?」と言われたらどう答えるだろうか?
全国的な知名度では地味だし、様々な意見があるだろうが、ほんの少し前まで大阪の私立中高一貫校・大阪星光学院がNo.1の進学校として名高かった。
男子校であり、実はミュージシャンのヒャダインさん、俳優の内藤剛さんの出身校としても知られている。
しかし、2024年度の大学進学実績を見ると、
その輝きはかなり失われていることがわかる。
星光の今春の主な進学状況は以下の通り。
・東大14名(現役10名)★昨年比-2名
・京大36名(現役23名)★昨年比-20名
・国公立大学医学部27名(現役21名)★昨年比-14名
※卒業生181名
※引用元:進学状況 - 大阪星光学院中学校・高等学校 (osakaseiko.ac.jp)
見ての通り昨年度の実績を大きく下回っている。
特に京都大学は20名という大幅に減少した。
国内人口3位の大阪府における最難関私立としては物足りない印象だ。
一方、府立の北野高校はかなり躍進した。
・東大19名(現役10名)
・京大88名(現役59名)
京大は5年連続で合格者数日本一を達成し、
東大についても過去30年で最多の合格者数に達している。
もはや北野高校の完全復活である。
もちろん、数年前からこの状況は続いてきたわけで、
今更こう判断するのは遅いかもしれない。
と言うのも、1学年200名弱の星光だが、
東大と医学部医学科の合格者数では大阪では1番であり、
そこが唯一の価値だと感じる部分があったからだ。
だが、もはや不安定な進学実績の大阪星光にその座はふさわしくないかもしれない。
1970~90年代前半までは、北野と天王寺という2大公立高校が難関大進学の最短ルートだった。
しかし、府立高校の学区制導入に伴い、90年代後半~2010年頃までは北野も天王寺も勢いをなくし、その間に私立の進学校が台頭してきた。
名門公立が凋落している最中に、大阪No.1の座に輝き続けたのが大阪星光学院だった。
東大・京大・医学部の進学率で他を圧倒していた。
ただ、それも長くは続かなかったようだ。
大阪府の学区制の撤廃による公立トップ高の再躍進、
さらに府内の他の私立や隣県(奈良県)の西大和学園の台頭により、
星光の凋落具合が目に見えて明らかとなった。
ちなみに高槻と並び私立No.2の清風南海でも、
東大5名、京大35名、国公立医学部26名を輩出し、
星光との差は縮まっている。
東大寺学園の滑り止めとして選ばれてきた星光。
さらに、かつては星光の滑り止めとして西大和学園が選ばれていたが、今や西大和学園には遠く及ばなくなっている。
なぜなら、西大和は数年前からの東大志向へシフトしたことにより、今春も東大71名・京大28名・国公立医学部27名という驚異的な実績をたたき出しているから。
確かに医学部という観点では
北野や天王寺は星光には及ばないかもしれない。
しかし、同じ私立の四天王寺(女子高)や高槻、清風南海(いずれも共学)が
今度は星光と並ぶかそれ以上の医学部進学実績をたたき出している。
こうなるともはや中学受験で頑張って星光へ行く意味とは?と考えてしまう。
仮に星光に進学したとしても、通塾率は以前より高いようで学校の授業や補習だけでは受験に十分な力を身に着けられないのかもしれない。
昔から中学受験においては、大阪府内の学力最上位層は灘や甲陽、東大寺、洛南などに進学するため、大阪府内の私立には準トップ層が入学する傾向がある。
一方、高校受験の最上位層は北野や天王寺など公立校に進学するため、どうしても府内の私立が隣県の最難関私立に比べて、大学受験面で存在感が弱かったという面がある。
こうなると、星光が大阪No.1に返り咲くには、抜本的な進学改革を学校主導で行うか、あるいは女子を受け入れて共学化するしかないだろう。