12月27日、僕は3年に及ぶ某金融機関での常駐業務を終えた。
稼働システムの保守運用に始まり、構築を少し経験した。
Web業界からSI業界へ移ってからの3年間を振り返ってみる。
ITインフラとかサーバ関係の話をしたいので、こういったことが全くわからないのならば、以下の記事を参照してほしい。
取引関係はこんな感じ
まずは勤務していた金融機関と自社との関係だが、以下のような感じだ。
エンドユーザ(本金融機関)
↓受託
大手SIerのA社(大手ITベンダー)
↓受託・委託
A社とパートナー契約のB社(開発協力会社、業務委託会社)
↓委託
自社(B社からA社受注業務を委託される)
イメージ的には建設現場と同じようなものだ。
下請けやパートナー会社になればなるほど、中抜きされて契約金は低くなる。
契約の関係上、いろいろと複雑な仕組みではあるが、簡単に言えば派遣社員のような形で元請けのA社の立場で仕事をすることになる。
つまり、同じ仕事でも所属会社により、各エンジニアの給料は全く異なるわけだ。
金融機関での開発は自由度が低い
これは伝えておきたい。
僕はITインフラの中でも特にサーバ周りの保守・運用要員として、本現場に3年前に配属された。そこは某大手の金融機関だ。
特に技術力も高くなく、IT業界経験者というだけで何となく配属された。
金融機関全般のことはわからないが、ここの現場はとにかく様々な制約や業務上の細やかな作法が求められる。本番環境で稼働中のシステムを触るのに7つの申請を通さなければならない。
これだけでストレスフルな環境である。
さらに自席のPCからはインターネットに接続できない。
何か調べようものなら、自分のスマホで調べなければならない。
また、自由に検証できる環境も用意されていない。
はっきり申して、エンジニアとしてはあまり環境は良くない。
ただし、エンジニア未経験者でも配属されやすいという意味では自社としては楽なのだろう。未経験者にとってもとりあえず経験ができるという小さなメリットはある。
定型作業が多く、言われたことをミスなく言われた通りに実現すればそれだけで評価が上がる環境だ。
ITインフラ業界はチャンス
別の業界やお仕事からIT業界に未経験で働くなら、ITインフラ分野はチャンスだとおもう。
まず、アプリケーション開発やWeb業界に比べれば、人手が圧倒的に足りない。
僕の場合、サーバ関係のお仕事だったが、ネットワーク分野も含めインフラ部門は人気がないため、未経験でも転職しやすい。
また、最近は大手でもAWSやAzureなどパブリッククラウドサービスを利用することも増えてきており、そこに参入の余地がたくさんある。
あなたは自分の発想を生かしたアプリ開発やプログラミングがしたい気持ちがあるのか?
もしなければ、地味だがITインフラは転職のチャンスだ。
Linux が使えれば重宝される
3年いてわかったのがこれだ。
Linuxの需要が高いとはよく聞く。
勤務していた現場ではLinuxを扱える人が極端に少なかった。
その現場では圧倒的にWindows Serverで稼働しているものが多く、Linuxだとかなり少ない。UNIXだともっと少ないが。。。
僕の場合、前職で少しLinuxを触っていたこともあり、現場でもLinuxサーバの運用を担当した。
Linuxならば自宅のPCにインストールして、練習することができる。
もし今から勉強するならば、アプリ開発でもインフラ構築でもLinuxは触れておくと、重宝されるだろう。
最新技術は敬遠される
金融業務なので、稼働率の高さを求められる。
つまり、正常に動作できることが大前提なのだ。
そのため、実績ある技術や商品、サービスを利用することになる。
流行の最新技術を利用する機会はほとんど皆無だ。
導入するOSやソフトウェアのバージョンもレガシーなものを使うことが多い。(リリースバージョンが5年前・10年前などざらに存在する)
大手ならではの高価なソフトウェアを使える
これは小さなWeb業界や中小規模の受託会社ではあまり体験できないことだ。
OracleやJP1,Cisco,SalesforceなどITベンダーの高価なソフトウェアを利用することができる。
これは個人で利用するにはかなりハードルが高いため、大手企業常駐の唯一のメリットと言えるかもしれない。
総評
経験値の少ない僕にとっては経験値を上げられたという意味では良い現場だった。
ただし、技術向上が見込めない上に、現場全体に保守的な考えが浸透しているので、数年も勤務する価値は全くなかった。
もし2020年も同じく契約更新だったら、自社を退社するつもりだったので、ちょうどこのタイミングで離れられたことは良かった。
アプリケーションとインフラの境界が徐々に消えつつある昨今だが、まだまだインフラ分野は需要が大きいとおもう。
IT業界に転職したいのならば、インフラ分野を検討するのも悪くないだろう。